全部治すつもりで


「せっかくもらった機会なのだから、この際全部治してしまおう。」という風に思っているかもしれない。その意気込みやよし。ただそれは簡単なことではない。

まずは気力回復

自分に嫌気がさして、こんな自分が嫌で変わりたくてしょうがないと思って認知療法を始める人は多いと思う。

ただ、こういってはなんだが、認知療法は気合と努力と根性を必要とすると思ったほうがよい。ガーッとやったら「こんにちは!新しい自分!」なんてことには絶対にならない。

やるにしても、始めのうちは週に1回30分。カウンセラーと一緒にやるのが安全でよい。状態がよくないときに自分だけで始めてしまうと、ネガティブな結論に結びつけてしまって逆効果になることも少なくない。

ダイエットより大変

ダイエットの目的が脂肪を落とすことなら、正確ではないが認知療法は心の筋力アップを目指すといったところだろうか。脂肪を落とすだけなら極端な話、トレーニングをしなくても達成可能だが、筋力をつけるにはトレーニングが必須だ。

私の感覚的には、認知療法は心の使い方の型を学ぶようなイメージがある。無駄な力を使わないためのフォームの習得というたとえだと、恐らく運動をしない人にはピンとこないだろう。余談だが、心の筋トレということでいうと、マインドフルネスが近いと思う。

筋力トレーニングをするには、現在の筋力を知らなくてはいけない。そして、状態をみながら負荷を調整しなくてはいけない。ときにはトレーニングの一環として休養することも必要だろう。やり過ぎたりして怪我をすることもあるだろう。

認知療法は、最終的にはマインドセットの作り変えを行うので、性格を変えるくらいのことをやってしまう。
なまなかな覚悟では心のマッチョ(?)にはなれないのだ。

健常者には持ち得ない機会

何が健常者であるかという定義はおいておくとして、つらい経験を味わった人がもう二度と繰り返したくないと思って取り組むモチベーションは、こういう状況にならなかったら生まれなかったはずのものである。

せっかく気づきも治す時間ももらったのだから、活用しよう。

ただこれは、マイナスをゼロにするのではなく、プラスにするプラクティスなので、うまくやれなったからといってダメ人間ということにはならないことに注意したい。すごいことを始めようとしている自分を正当に評価しよう。

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